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佐藤多佳子「明るい夜に出かけて」の感想

 アメトーークの読書芸人でも取り上げられていた佐藤多佳子「明るい夜に出かけて」を読んだので、感想を書きます。

明るい夜に出かけて

明るい夜に出かけて

 

ストーリー

女性恐怖症である主人公、富山が深夜のコンビニバイトや深夜ラジオを通して、人と出会い、成長していく青春物語です。

主な登場人物

登場人物を少し紹介します。女性恐怖症のせいで折角できた彼女を突き飛ばし大学で居場所を失い休学中に夜勤バイトをする主人公、富山。女子校の高校に通い富山と同様アルコアンドピースのオールナイトニッポンのリスナー兼「職人」である佐古田。富山と同じコンビニで夜勤バイトをしながらニコニコ動画で歌い手をしている鹿沢。富山の高校時代から友人で熱心なラジオのリスナーである永川。

ラジオ

本作ではアルコアンドピースのオールナイトニッポンという深夜ラジオがそのまま出てきます。自分は日頃ラジオ聞かないのでラジオの良さだったり、深夜ラジオの空気感やネタを投稿する職人だったりを全く知りませんでした。本作を読んで、オードリーのANN(オールナイトニッポン)や星野源のANN、伊集院光深夜の馬鹿力、その他ANNやJUNK(TBSラジオの深夜番組)を聞きはじめました。最初にオードリーのANNを聞いてみたらテレビのバラエティとは、違うオードリーとネタを送る職人たちとの掛け合いが癖になりました。テレビに飽き、高校時代にYouTubeにハマり、YouTubeで生計を立てるYouTuberが年々増え内容もマンネリ化してきてYouTubeが、自分にとって最近は居心地の悪いところになってきていました。そんな中で深夜ラジオにであったので、自分の知らないところにまだこんなにも面白いものがあったことに驚きました。これから深夜ラジオのリスナーの一人です。

深夜のコンビニ

主人公、富山は週5近くコンビニの夜勤バイトで働きます。友達にコンビニの夜勤バイトはいたが、その実態は全く知りませんでした。自分も大学のテストの時期とかは深夜のコンビニに行き、栄養ドリンクやらチョコやらを買って乗り越えていました。深夜のコンビニには、感謝と敬意はあるものの、バイトの彼らがどのような仕事をしているのかは知りませんでした。作中では、二人で深夜コンビニを任されレジ打ちや品出し、掃除を同時にこなします。コンビニは、リレーのようなもので朝・昼・晩・深夜とどこかでサボる奴がいるとどこかでしわ寄せがくるらしい。二人っきりで多くの仕事をこなす必要のある夜勤は、協力が不可欠だしコミュニケーションが重要になってくる。そのような環境が、富山を少しずつ変えていく。

明るい夜

この物語は題目にある通り、「明るい夜」というテーマになっています。辛くて孤独な夜。それを少し和らげてくれる存在ってなんだろう。その答えはやっぱり人です。深夜に人を感じられるが、ラジオだったりコンビニだったりSNSだったりします。自分は寝る前電気を暗くしてからスマホYouTubeを見ないと寝れません。今までなんでYouTubeを見ないと寝れないのかがわかりませんでした。でも、この本を読んで少しわかりました。このブログも誰かの明かりになったら嬉しいけど...

全体の感想

佐藤多佳子さんの作品は、すごく昔に「一瞬の風になれ」を少し読んだことがありましたが、ほとんど初めて読みました。主人公が、大学生で現代を舞台にしていることからとても感情移入がしやすく、登場人物全員、癖はあるが良い奴です。読んでいてとても清々しくなる小説でした。