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満願の感想

年始から読み始めていた「満願」(著:米澤穂信)を読みました。

 

満願 (新潮文庫)

満願 (新潮文庫)

 

 

米澤穂信さんは、古典部シリーズ、アニメ「氷菓」の原作者で前からこの本には興味があったのだが、なかなか読む機会がなく夏頃に文庫になったの機に購入したが、積んでいた一冊です。

本書は、計6篇のミステリー短篇が収録されています。それぞれ、独立したストーリーで短篇同士のつながりはありません。本の帯に書かれていることだが、バラエティに富んだ短篇集で新しい短篇を読むたびに新しい世界に引き込まれます。交番勤務の警察官からバングラデシュのガス開発に奔走する商社のサラリーマンまで、その物語に登場する人物は多種多様です。

その短篇の中でも1番印象に残ったのは、「万灯」というお話です。このお話は、バングラデシュのガス開発を任された主人公が、日本に光を灯すという使命感のもとバングラデシュでガス開発に抵抗する地元の長を殺してしまいます。主人公は、使命感とそれ貫いてきたプライドに囚われさらに罪を重ねていくが、最後には主人公にその罰が降りかかります。

自分は、主人公が日本に光を灯すという使命感のもと仕事を続けてきてもう後戻りできないという状況に自分を重ねてしまいました。自分は、まだ大学生ですが、今まで世のために自分の何かできることがあるのではないかと思う勉強してきた節が少しはあります。この前実家に帰省をしたときには、高校卒で就職して結婚をした友人に会いました。4月には、父親になるそうです。この話を聞いて自分の幸せについて少し思ってしまいました。家庭を持って家族を養えればそれで幸せなのではと。世のために働き疲弊していくことが幸せなのでろうかと。このお話の主人公もまた世のために働き疲弊していったのだろう。また、主人公の中で引くに引けないプライドが無自覚に生まれていったのだろう。

「万灯」は、そんなこと思ってしまい暗い気持ちになってしまいましたが、その他のお話は、純粋にミステリーらしい楽しみ方ができました。どの短篇も謎を解決ときは、なんとも言えない爽快感があります。アニメ「氷菓」をきっかけにこの本を手に取り読んでみましたが、日頃読書をしてこなかった自分でも楽しめる1冊だったと思います。

(余談)
最近は、休日を地域の図書館で過ごしています。そんな大学生は、どのくらいいるのかな。